新しいMavic 2シリーズには、Mavic 2 ProとMavic 2 Zoomの2モデルがラインナップ。どちらも魅力の尽きないドローンなので、どちらを選ぶかはなかなか難問です。自分にはProとZoomのどちらが向いているのか。比較してみましょう。
共通点
まず共通点を明らかにします。DJI Mavic 2シリーズの飛行性能は、ProとZoomどちらのモデルでも変わりません。最大飛行速度が72km/h、飛行時間は最大31分です。
また、どちらも100Mbpsのビットレートで4K動画を撮影できます。ハイパーラプスやアクティブトラック2.0といったインテリジェント機能も同様です。両モデルとも、Mavic Proと比較すると大きく進化しており、その違いについてはこちらでお読みいただけます。
Mavic 2 ProとMavic 2 Zoom:相違点
では、違いはどこにあるのでしょうか。簡単に言うと、最大の違いはカメラです。
以下に示すのが、カメラ性能を比較した表です。
Mavic 2 Zoomモデルのみの機能
独自のズームレンズ
Mavic 2 Zoomモデルは、センサーが1/2.3インチにとどまりましたが、真に意味があるのは焦点距離24mm – 48mmのズームレンズです。2倍ズームというのは、たいしたことがない印象かもしれませんが、使ってその結果を見てみれば、そこに展開される視野の多彩さが納得できるでしょう。
遠距離から理想的な構図で捉えられるだけでなく、視野を変えて劇的な効果をもたせることもできます。新しいズームレンズを使えば、創造の可能性は無限大。フルHD動画の撮影時には、ロスレスの4倍ズームを楽しめます。
焦点距離24mmと48mmで撮影した2枚の映像で、違いをお確かめください。
Mavic 2 Zoomの12メガピクセルセンサーで撮影すれば、ベストショットを30インチ×20インチの大きさでプリントできます。
目を見張るクイックショット「ドリーズーム」
Mavic 2 ProとMavic 2 Zoomには、新しいカメラモードが豊富に用意されていますが、Zoomモデルにはユニークなモードがひとつあります。それがドリーズームです。
ドリーズームがどんなものかご存じなければ、「めまい(Vertigo)効果」という名前でも知られています。基本的には、中心となる被写体が同じ位置にとどまり、背景だけを広げたり狭めたりする視覚効果です。ドリーズームの実際の様子は、次の動画をご覧ください。
「超解像」による超高解像度撮影
新しい超高解像度の機能がサポートされているのは、Mavic 2 Zoomだけです。焦点距離24mm相当で撮影すると、望遠レンズで9枚の写真を撮影して合成し、48メガピクセルの超高解像度の写真ができあがります。
Mavic 2 Proモデルのみの機能
Hasselbladカメラ搭載、1インチセンサー
Mavic 2 Proは、Hasselblad社との協力のもとで開発されたカメラを搭載。20メガピクセルの画素数で、驚異的な画質とディテールでの撮影が可能です。センサーが大きくなり、主レンズが28mm相当になったので、ISOは最大12800となり、Zoomモデルを大きく上回っています。
調整可能な新しい絞りと大型センサーを組み合わせれば、明るさの足りない環境で撮影してもノイズが抑えられ、色の再現度が精彩になって、まったく新しい次元の画像を得ることができます。
HNCSと10-bit Dlog-Mカラープロファイル
色について言うと、ZoomモデルになくMavic 2 Proモデルにのみ採用されているのが、自然で忠実な色を再現するHNCS(Hasselblad Natural Color Solution:ハッセルブラッドナチュラルカラーソリューション)の技術です。
また、10-bit Dlog-Mカラープロファイルにも対応しているので、タイミングレンジが広がり、動画でも静止画でも深い色味を出すことができます。カラープロファイルのアップグレードに伴い、Mavic 2 Proでは10億色以上を記録できるようになりました。Zoomモデルは1,600万色です。
HDR動画
4K 10-bit HDR画像に対応しているので、Mavic 2 Proを4K HLGテレビに接続すれば、正しい色調で映像を再生できます。ハイライトはより鮮やかに、コントラストはくっきりして、HDRの魅力が存分に発揮されます。時間のかかる事後編集はいっさい不要です。
Mavic 2 ProとMavic 2 Zoom:両モデル共通の機能
拡張HDR写真
どちらのモデルでも拡張HDR写真の撮影は可能ですが、露出値が異なります。Mavic 2 Zoomは13EVストップですが、Hasselbladカメラを搭載したMavic 2 Proは14EVとなり、さらにタイミングレンジが上がって画像が鮮明になりました。
技術的にあまり深入りはしませんが、どちらのカメラでも、写真の露出不足および露出過度の領域に、膨大な情報ビットが保存されるということです。
これを撮影後の処理で復元すれば、特にMavic 2 Proではさらにディテールの細かい画像を得ることができます。13EVと14EVの差は、次の例でお確かめください。
どちらを買うべきか
さあ、決断の時です。Mavic 2 Proでは、驚異的なディテールと鮮明度が得られ、光量にかかわらず彩度の高いHDR動画を撮影できます。
一方、ワイドズームやクイックフォーカスの機能がほしい、あるいは息をのむ視覚効果で映画のような動画を撮りたいのであれば、迷わずMavic 2 Zoomを選びましょう。